「でも、幸せなの私。おかしいよね。こんなにも悲しいのに。」
目を細めて笑う
けど、頬には涙が伝ってる。
それを傾いた日差しが照らして
きらきらと、宝石のように輝いた。
「わかってるの。終わりがこない幸せなんて、あるはずないもの。」
「だから、もう終わり。駄目なのよ。幸せだけど、終わりにしなきゃ。」
そう言って彼女は静かに目を閉じた。
彼女はもう泣いていなかった。
それが終わりの合図だと理解して
重ねられた手にそっと指を絡めて、強く握った。
そうしたら彼女もそれに応えるように少し力を入れて握り返してくれた。
(どうか、どうか絡めた指が握られた手が離れませんように。)
願いながら 堕ちてゆく
翼を捥がれた二人の結末。
2008.08 / 幸せの終着点