知らないままに壊した 君の
見上げた瞳が憎悪に満ちてることに 絶望を覚える。
ゆっくりと ゆっくりと 浸透してゆくのがわかる
認めたくない、と頭の中で 誰かが叫んだ。
けれど
緩やかに溶けてゆく心は それを許さずに
目の前の事実を 鮮明に そして
自分はここで死ぬんだ という事実を突きつける。
雨音が 遠く聞こえる気がした。
両手の力が消え落ちる。
そうして浮かび上がった思考は
こんな状況だというのに何故かはっきりしていた。
否、もう思考は肉体から剥がれてしまったのかもしれない。
(死にたくない。)
「はっ・・・」
思わず口元が歪む。
死にたくない 、だなんて
乾いた笑いは雨音で消された。
痛みは、
消してくれなかった。
2008.08 / きみのめ