温かな日差しの中 とくんと一つ鳴って 静かになった。 もう、動かない。もう動けない。 指先から冷えてゆく感覚が まるで他人事の様に思えてそれがなんだか可笑しくて 笑おうとしたけど、

(あぁ、そうだ。)

眼球をゆるりと動かすと君が見下ろしていた。 手を伸ばそうとしたけど、冷えた指先はやっぱり他人のもののような感覚で 冷たい自身と対照的な日差しの温かさが不可思議に思えた。 ぱたり、と音を立てて僕の頬に何かが落ちる。

(泣い てるの ?) (ごめんね、ごめんね)

少しだけ動いた僕の口元を見て、君がくしゃりと顔を歪める。 それから君は何も言わずに、僕の指先を暖めるように自分の指を絡めた。


(ああ、)

君が笑っていてくれてればいいって、

(それだけ、それだけだったのに。)

2008.02 / 指